“射倖契約とは、契約の一方または双方の給付義務の発生または義務の内容が偶然の事実の発生に左右される契約をいい、賭博、くじ、保険、終身年金、終身定期金、デリバティブなどはすべて射倖契約の範疇に属する契約である。これからわかるように、射倖契約という概念は、当然に反倫理性ということを内在させているものではない。ところが、わが国の従来の保険法学説では、保険契約が射倖契約であるということから、保険加入者側における保険の悪用の危険を導き、…..様々な保険法独特のルールを説明しようとする傾向があった。…..しかし、射倖契約という拡大された概念で保険契約のルールが全て説明できるかどうかはやはり疑問であり、保険法独特のルールは、保険契約の構造ないし性格に即して説明されるべきであろう。”
—山下友信,竹濵修,洲崎博史,山本哲生『保険法 第三版』
December 2011
“なお、平成12年に成立した消費者契約法には、民法・商法その他の任意規定よりも消費者に不利益な契約条項であって、信義則(民1条2項)に反して消費者の利益を一方的に害するものを無効とする明文の規定が設けられた(消費者契約10条。いわゆる不当条項規制)。これまで、保険契約者に一方的に不利益な約款条項の効力を正面から否定しようとすれば、公序良俗といった高いハードルを超える必要があったが、不当条項規制の導入により、裁判所が無効判決を出すことは以前よりも容易になったということができる(消費者契約法10条により、約款条項を無効としたものとして東京高判平成21.9.30 金判1327号10頁)。”
—山下友信,竹濵修,洲崎博史,山本哲生『保険法 第三版』
November 2011
“簡易生命保険制度は、大正5年に簡易生命保険法にもとづいて国が行う国営生命保険制度として創設された。当時は、民間生命保険会社は、比較的富裕層を対象として営業していたので、社会政策的観点から、保険料が安く保険金の支払が確実な小口の生命保険を広く国民に普及させることを目的として制度が創設されたのである。”
—山下友信,竹濵修,洲崎博史,山本哲生『保険法 第三版』
“保険法は、改正前商法とは異なって「保険契約」の定義を置いており(2条1項)、その中で、「一定の事由の発生の可能性に応じたものとして保険料(共済掛金も含む。以下同じ。)を支払う」ことが保険契約の要件として明記されている。この「発生の可能性に応じた」という部分は、一般に、保険料と保険金が上述のような数理的関係にあるべきことを示すものと理解されており、逆に言うと、保険料と保険金がこのような数理的関係にない場合、例えば、加入者間でリスクに違いがあるにもかかわらず、各加入者のリスクの測定を行うことなく、一律の掛金を徴収するなど、一種の互助制度が小規模な形で行われているような場合には、当該互助制度は保険制度とは言えないし、そこで行われる契約は保険法2条1項の保険契約ではないということになる。”
—山下友信,竹濵修,洲崎博史,山本哲生『保険法 第三版』